2007年1月14日日曜日

ト音記号とかヘ音記号とか

いきなり問題です。

この音は何でしょう?


大抵の方は「ソ」だと言うでしょう。ベーシスト等の低音楽器奏者さんは「シ」と言うかもしれません。
さて正解は「(これだけでは)わからない」です。

なぜか?「基準となる音を示す記号がないから」です。なんじゃそりゃ?と思うかもしれませんがまあ落ち着いて。
その記号とは何の事は無い、タイトルにある「ト音記号」や「ヘ音記号」の事です。
これらの記号は「音部記号」と呼ばれます。

さてこの「音部記号」について、ト音記号を例に書いてみます。

ト音記号って何?

これです。。。それだけじゃ殺されかねないので色々とw。

ト音記号とは「五線譜の『ト音はここ』を示す記号」です。じゃあ「ト音」とは何でしょうか。
知ってる方も多いと思いますが、「ドレミファソラシド」を日本語にすると「ハニホヘトイロハ」になります。
つまり「ト音」とは「ソ」の音の事です。日本語表記なんですわ。
ついでにト音記号は英語で"G clef"です。てことで、ト=Gですね。
纏めると、ト音記号とは「ソの位置を決める記号」なのです。

ソといっても高いソや低いソがありますが、どのソか?
理由は分かりませんが(多分レンジの広いピアノの中心付近にある音だから?またはバイオリンのチューンから?)この音(mp3)です。


なぜ「ソ」が基準なの?
なぜか分かる為にちょっと寄り道を。

楽譜のフォーマットを決めておくのには大きな理由があります。
勿論「後世に残すため」というのもありますが、それだけではなく、楽譜を演奏家に渡せばすぐ演奏出来るようにする為です。ま、演奏家もすぐ演奏出来るように努力するんですが。
そして情報を分かりやすいように、つまり演奏家が見やすいように配慮することによってエラーが起こる確率を減らし、物事をスムーズに進行させる事が出来ます。
これは現代のコンピュータプログラムと同じです。つまり「楽譜」という「言語」で書かれてる訳です。

このフォーマットの一つに「よく使われる音程はなるべく五線譜内に入るような配置にしよう」ってのがあります。このフォーマットが演奏家が「読みやすくするため」の配慮だと思われます。
そこから考えると、「ソを第2線(下から2番目の線)にしよう」と決めたのも納得出来ます。
そうする事によって、演奏家はその曲を知らなくても、本を読むようにすらすらと演奏する事が出来るのです。
(下の「なんで種類があるの?」も参照してください)

五線譜内だとしても他の音があるじゃん。なぜ他の音でなく「ソ」なのか。。。これは推測というよりはもう憶測なんですが、バイオリンの弦のチューンから来てると思います。G線上のアリアのG線じゃないかなぁーと。。。自信ないですが(汗)。


ト音記号のどこがソを示してるというんだ?
ト音記号を書くときに重要な約束事があります。それは
「ソの音になる線とその下の線の間から書き始める事」
です。
ト音記号を見てみましょう。


基準になる線の下から書き始める事によって、基準線をまたぐ回数が一番多くなり、また一番横幅をとっています。
さらに最初の円の中心を通ることによって、基準の線を目立たせています。

同じようにヘ音記号、マイナーですがハ音記号も基準の見方(そして書くときに注意する所)を示しておきます。
ヘ音記号(=F clef=ファを基準)



ハ音記号(=C clef=ドを基準)


一般的な楽譜は上の図の位置で表現しているので(ハ音記号は除く)特に問題にすることは無いかもしれませんが、古典のオリジナル譜面では他の線を基準にしている楽譜もあります。その場合はその線を基準の音にしなくてはなりません。


なんで種類があるの?
楽器にはそれぞれ音域があります。つまり音を鳴らす事ができる下限/上限があります。
そして前述のように「なるべく五線譜内に」書くとなると、それぞれの楽器ごとに適切な基準を音域で分けておいた方が良いのです。
ト音記号だけだと辛いのですよ。てことで例をば。

この音は一般的なベースの一番低い音の1オクターブ上の音です。これをト音記号で表現すると。。。


となっちゃいます。
ここまで線が多いと、一瞬でどの音か見極めるのは大変難しいです。場所も取るし。ヘ音記号で書いた方がまだ分かりやすいのが分かると思います。


なんでこんなデザイン?
実はさっきググって初めて知ったんですが(汗)、アルファベットの「G」を変形して出来たそうです。
同様にヘ音記号は「F」、ハ音記号は「C」の変形です。


その他
グリッサンド(低音から高音へ駆け上るように(またはその逆)ずららららら〜っと弾く事)等広い音域を譜面にする場合、臨時的に音部記号を変えても構いません。その時はちょっと小さめに書くのが一般的です。

音部記号に「8」の数字が上か下についてる場合がありますが、上についている場合は基準になっている音の1オクターブ上の音を、下の場合は1オクターブ下の音を基準にする、という意味です。

とりあえずこれくらいだと思いますが、なんか思い出したら書き足します。

次は調号について書きますー。

4 件のコメント:

Vita さんのコメント...

WOW!! 素晴らしい解説!
マジで印刷してじっくり読んでみたいと思いましたよ。
いやぁ、興味がわいたから。マジで。
しかし、、楽譜を読める、書けるって素敵だなぁ。
素晴らしいと思う。尊敬です。うん。

charly さんのコメント...

楽譜ってその構造自体が面白いんですよねー。
思いつきで作られてなくて、ホントに「演奏者に見やすいように」徹底的に配慮されてます。

でも楽譜はさくっと読めないよw。音符とかけっこう数えたりしてますw。

匿名 さんのコメント...

最初にト音記号を書く練習をしたのはたしか4歳くらいだけど、そのころは意味なんて知らないで書いていたような記憶があります。
こういうトリビアも面白いのでまた続けてください!

charly さんのコメント...

子供の頃は詰め込みですよねw。私も子供の頃よりも大学で覚えましたー。